医師がマイクロ法人を作った理由|実体験で語るメリット・デメリットと注意点

お金・投資・節税

マイクロ法人とは?医師が作る意味あるの?

まず、マイクロ法人とは何か?
一言で言えば、**自分が一人社長になって運営する“超小規模な会社”**のことです。

最近はフリーランスや副業の広がりによって、このマイクロ法人を活用する人が増えてきています。

医師がフリーランスになった場合、それまで勤務先で加入していた健康保険(いわゆる社保)や厚生年金からは外れることになります。
その場合、多くの人は国民健康保険+国民年金に切り替わるのですが――

実はここに、マイクロ法人を設立する大きなメリットがあるんです。

自分で法人を作って、自分自身をその法人の「役員」にすれば、
法人の社会保険(健康保険+厚生年金)に加入することが可能になります。
これは特に、家族を扶養に入れたいと考えている人や、老後の年金額を増やしたい人にとっては大きなメリットになります。

もちろん、すべての人にとって必ずしも得になるとは限りません。
でも、収入の形やライフスタイルによっては検討の余地が十分にあるのがマイクロ法人です。


実際に医師の自分がマイクロ法人を作った理由

フリーランスになると決めたとき、まず強く思ったのは、
**「勤務医時代と同じように、ただ働くだけではダメだ」**ということでした。

勤務医のときは、ある意味“守られた環境”にいました。
安定した給与、厚生年金、社会保険、産休・育休、福利厚生…
多少先のことを考えなくても、日々の仕事をきちんとこなしていれば、生活は成り立っていました。

でもフリーランスになるということは、その後ろ盾が一切なくなるということ。
良くも悪くも、すべて自己責任、すべて自分次第になります。

将来のことを考えたとき、
「医師という仕事だけに100%ベットするのはリスクが高いのでは?」
そんな思いが頭をよぎりました。

そう思いながら、家計管理や税金のことを少しずつ学び始めたときに出会ったのが、マイクロ法人という選択肢です。

これは単なる節税テクニックではなく、

  • 医師以外の働き方(ブログ、執筆、セミナーなど)を広げるベース
  • 法人で社会保険に加入して家族を扶養に入れるという制度的活用
  • 将来の年金を増やすための仕組みづくり
    といった、**“複数の目的を一手に叶える手段”**だと感じました。

マイクロ法人のメリット

マイクロ法人を作ってみて感じた一番大きなメリットは、
やはり社会保険料の最適化ができるという点です。

私自身、法人の設立や維持にかかる費用(登記・会計・住民税など)を含めても、
ただフリーランスとして国保・国年で過ごしていた場合と比べて、年間で約30万円ほど社会保険料を抑えることができています。

それに加えて、配偶者や家族を法人の社会保険の扶養に入れることができるため、
家族分の社会保険料まで含めて考えると、節約効果はかなり大きくなります。

また、法人を持つことで以下のような選択肢も広がります:

  • 法人経費としての活用範囲が広がる
  • 小規模企業共済やiDeCo(企業型)の活用も可能になる
  • 利益調整・所得分散などを戦略的に行える

そして何より大きかったのは、
法人を作るという行動自体が、
“自分が何らかのビジネスをやっていく”という意識を育ててくれたことです。

医師として病院で働くだけでは、
「経費ってなに?」「利益ってどう出すの?」といった考え方とは無縁でした。
でも法人を持つようになると、自然と**事業者の視点や“数字を見る目”**が身についてきます。

お金の流れを自分でコントロールする感覚。
医師としての収入以外に目を向ける視野。
「どうすれば価値を生み出せるか」と考えるようになる思考の変化。

これらは単なる節税の副産物ではなく、
人生全体の自由度や選択肢を増やすきっかけになっていると感じています。


マイクロ法人のデメリットと注意点

当然ながら、マイクロ法人にはデメリットや注意点もあります。

まず、設立と維持には少なからずコストがかかるという点。

  • 設立時の登記費用や印紙代(ざっくり10〜20万円程度)
  • 顧問税理士への報酬(月1〜2万円が相場)
  • 年間を通じて発生する法人住民税(最低7万円)

これらは利益が出ていなくても発生する固定コストです。

また、法人の運用には時間と手間のコストもかかります。

  • 登記に必要な書類の準備
  • 法務局への提出や管理の対応
  • 役員報酬の決定、年末調整や確定申告などの税務処理

こういった部分を**自分でしっかり管理できるだけの“気合いと根性”**がないと、
「やっぱり面倒くさいだけだった…」となる可能性もあります。

だからこそ、気軽に「節税になるらしい」と飛びつくのではなく、

  • 本当に自分のライフスタイルに合うか?
  • 実際に節税メリットは出るのか?
  • 継続できるだけの“軸”があるか?

しっかり計算・検討したうえでチャレンジするのがおすすめです。


結論|マイクロ法人は「目的と知識」があれば強い武器になる

マイクロ法人は、フリーランス医師が社会保険料を最適化する手段として非常に有効です。

実際、うまく活用すれば毎年数十万円の固定費削減につながることもありますし、
家族の扶養、事業拡張、節税など、自分のライフスタイルを守る仕組みとしての価値は十分あります。

ただし、

  • 事業の実態がない法人は税務署に否認される可能性がある
  • 経費の使い方を誤ると、最悪「脱税」とみなされるリスクもある

だからこそ、きちんと知識をもち、目的を明確にして取り組むことが何より大切なんです。

勤務医という一本道のキャリアだけでなく、
マイクロ法人をうまく取り入れることで、
視野がひらけて、より柔軟で自由な働き方が見えてくるかもしれません。

自分の将来を「守るため」にも「広げるため」にも、
まずは一歩、知ることから始めてみてください。

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