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フリーランス医師がマイクロ法人で社会保険料を圧縮する仕組み|事業実態を持つ前提の運用ガイド

フリーランス医師がマイクロ法人で社会保険料を圧縮する仕組み|事業実態を持つ前提の運用ガイド
目次(8項目)

フリーランス医師になって最初の年、社会保険料が家賃並みの金額で毎月引き落とされていました。国保+国民年金は所得が大きいほど跳ね上がる仕組みで、診療と引き換えに相当な金額が消えていく感覚は、自分で経験するまで実感が湧きません。

それがマイクロ法人を作って運用に切り替えたことで、月の保険料が年単位で大幅に圧縮されました。具体的な圧縮率や運用ログの詳細は記事末尾の有料note案内に分離していますが、ここではまず「なぜそうなるのか」の仕組みを順に解説します。

うさ子 うさ子

いやいや、そもそもマイクロ法人ってなんですか?会社を作るって、医者にそんなことできるんですか?

ナマケン ナマケン

結論、できます。ただし「事業の器」として中身を持って運用することが前提。この記事は「マイクロ法人ってなに?」からスタートして、社会保険料が下がる仕組みと向かないケースまでセットで解説します。

ナマケン

ナマケンのひとこと

マイクロ法人は帳簿をしっかり付けて事業実態を残してこそ成り立つ。僕は設立初日にマネーフォワードに登録しました。

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そもそもマイクロ法人ってなに?医師でも作れるの?

マイクロ法人とは社長1人・従業員ゼロで回す超小規模な会社のこと。医師でもフリーランスであれば株式会社や合同会社として自分で作れます。診療報酬は受けられませんが、医療以外の事業を載せる「器」として活用します。

まず言葉の整理から。

マイクロ法人とは、社長1人(役員1人)で回す極小サイズの株式会社または合同会社のことです。法律上の明確な定義があるわけではなく、要するに「一人社長の小さな会社」を指す通称です。

医師免許とは関係なく、誰でも登記すれば作れます。合同会社なら 登録免許税6万円と定款の実費だけ で、最短数日で設立できます。

診療報酬は法人で受け取れない

注意が必要なのは、診療報酬は医師個人または医療法人にしか支払えないという点です。一般的な株式会社・合同会社で診療報酬を受けることはできません。

じゃあ何のために作るのか。

答えはシンプルで、医療以外の事業を載せる「器」として使うため です。ブログ広告収入・情報発信の報酬・コンサル料・書籍印税など、医療以外の収入を法人で受けつつ、本業のフリーランス医師としての報酬とは別建てで「小さな法人」を並走させる。

結果として社会保険と税金の計算基礎が制度上最適化される、という構造です。

医師が作るとどう得なのか(ざっくり)

仕組みの細かい話は後ろでするとして、ざっくりのイメージを先に渡します。

  • フリーランス医師としての本業の報酬はそのまま受ける(各病院から給与所得ベースで)
  • 同時に自分で作ったマイクロ法人の「代表」になり、月数万円の 役員報酬(会社が自分に払う給料)を自分に払う
  • 社会保険は法人側(低い役員報酬ベース)で計算されるので、めちゃくちゃ安くなる
  • 配偶者を法人の保険の扶養に入れられるので、奥さん・旦那さんの年金保険料もゼロにできる

この組み合わせで、フリーランス医師が国保+国民年金で支払っていた保険料は 数分の一規模まで圧縮できる のが一般的なレンジです(具体的な水準は所得・配偶者の有無・年齢で変わります)。

もっと踏み込んで「なぜ作ろうと思ったか」「メリットとデメリット」は別記事で詳しく書いています。

仕組みで見る|社会保険料がなぜ大幅に下がるのか

マイクロ法人を持たないフリーランス医師は国保上限+国民年金で年100万円超のレンジに張り付きますが、マイクロ法人化で計算基礎が標準報酬月額の最低等級まで落ち、配偶者の国民年金3号化も加わって数分の一規模まで圧縮されます。

フリーランス化と同時にマイクロ法人を作ると、社会保険料の計算構造そのものが変わります。

3つのシナリオを大まかなレンジで整理するとこうなります。所得帯・自治体・年齢・配偶者の有無で実額は動くので、あくまで構造比較として見てください。

シナリオ計算基礎概算レンジ/年
勤務医(高所得)給与標準報酬の上位等級100万円台中盤(本人負担)
フリーランス医師(法人化なし)国保=所得全額 / 国民年金=定額国保は上限に張り付き、年100万円超
マイクロ法人(最低等級設計)役員報酬を最低等級に落とし、本業所得は計算外数十万円規模まで圧縮

比較軸として現実的なのは、真ん中の「フリーランス医師(法人化なし)」のパターンです。勤務医を辞める時点で勤務医の社保は使えなくなるので、選択肢は「自分で国保と国民年金に入る」か「マイクロ法人を作って協会けんぽに入り直す」かの二択になります。

内訳① 国保上限から協会けんぽ最低等級への移行

マイクロ法人を作らず国民健康保険と国民年金で過ごすと、所得が大きいフリーランス医師は 国保料が自治体の上限に張り付き ます(東京23区なら年100万円台前半)。国民年金は本人分で年約21万円。

これに対してマイクロ法人を作って役員報酬を 最低等級 まで絞ると、保険料の計算に使う 「給料のランク」(標準報酬月額)が一番下まで落ちます。具体的には協会けんぽが第1等級の58,000円、厚生年金が最低等級の88,000円。

労使合計の保険料は 年数十万円規模 に落ち着く計算です。本業の所得がいくら大きくても、計算基礎には反映されません

国保上限と最低等級設計の 差額は年単位で大きな圧縮幅 になります。

内訳② 配偶者の国民年金が第3号で免除される効果

もう1つ見落としがちなのが、配偶者の年金です。

マイクロ法人を持たないフリーランス医師のままだと、配偶者も 第1号被保険者(自営業者向けの年金区分)として国民年金を自分で払う必要があります。月17,510円×12ヶ月で、年間約21万円。

マイクロ法人を作って自分が協会けんぽ・厚生年金に入ると、配偶者は 第3号被保険者 ── 「専業主婦・主夫として扱われる扶養の枠」── になれます。

この枠に入った瞬間、配偶者の国民年金保険料はゼロ。月17,510円分の支払いがそのまま消えます

つまり「配偶者がいるかどうか」で、マイクロ法人化の破壊力はさらに年21万円ぶん跳ね上がるわけです。

まず仕組みを押さえよう──社会保険料が下がる構造

マイクロ法人側で役員報酬を最低等級まで落とすことで、健康保険と厚生年金の計算基礎(標準報酬月額)が最小化されるためです。本業(フリーランス医師)の報酬は健康保険料の計算に入りません。

ここは仕組みを理解しておいたほうが応用が効くので、少し踏み込んで説明します。

「二刀流」で給料のランクを最低まで落とす

マイクロ法人と本業を並走させる構造は、よく「二刀流」と呼ばれます。

  • 法人側: 少額の役員報酬を自分に払う(健康保険・厚生年金の計算基礎はこちら)
  • 本業側: フリーランス麻酔科医として各病院から給与所得で報酬を受ける(こちらは健康保険料の計算に入らない)

役員報酬を最低等級まで絞ると、保険料の「給料のランク」は最下位に落ちます。協会けんぽが第1等級の58,000円、厚生年金が最低等級の88,000円。本業の報酬がいくら増えても、この計算基礎は動きません。

ここが国保との決定的な違いです。国保は世帯の所得全額が保険料算定に入りますが、協会けんぽは給料のランクだけで完結します。

配偶者を扶養に入れられる構造

もう一段、制度設計上の裏口があります。

自分が厚生年金に入ると、年収130万円未満の配偶者を第3号被保険者にできます。これは年金保険料を払わずに国民年金の加入期間をカウントできる、主婦・主夫向けの優遇制度です。

マイクロ法人を持たないフリーランス医師だとこの枠が使えず、配偶者にも国民年金保険料を払わせる必要があります。マイクロ法人を作った瞬間、この負担が消える。

勤務医はなぜマイクロ法人を作れないのか

「じゃあ勤務医のうちに作ればいいじゃん」と思うかもしれませんが、実はここに法的な壁があります。

勤務医の診療報酬は医療法上、医師個人または医療法人にしか支払えません。一般的なマイクロ法人(株式会社・合同会社)で診療報酬を受け取ることは、医師法と保険医療制度の両面で認められていないんです。

だからマイクロ法人による社会保険料の最適化は 実質的にフリーランス医師しか取れない選択肢 で、勤務医のうちは手が出せません。逆に言えば、フリーランス化のタイミングで事業の器を組んでおかないと、この差額は取り逃します。

勤務医とマイクロ法人の関係は別記事で詳しく書いたので、気になる方はこちらへ。

運用ツール3つを揃えよう

マネーフォワードクラウド(会社設立から帳簿・決算まで一貫)、住信SBIネット銀行の法人口座(振込手数料削減)、小規模企業共済(月最大7万円・所得控除)の3点セットが運用の土台です。

仕組みを理解しても、ツールが揃っていないと実務が回りません。僕が実際に使っているのは次の3つです。設立フェーズで効くものから順に紹介します。

マネーフォワードクラウド(会社設立 → 会計 → 申告まで一貫)

最初に登録したのがマネーフォワードクラウドです。法人設立の入口として、まず マネーフォワードクラウド会社設立 で定款・登記書類を作成しました。

テンプレに沿って入力していくだけで電子定款まで完成し、登録免許税の実費(合同会社で6万円)以外は実質ゼロ円で設立できます。

設立後はそのまま マネーフォワードクラウド会計 に移行して帳簿を回しています。銀行口座・クレジットカードを連携しておくと、ほとんどの取引が自動で仕訳されるので、日々の記帳作業がほぼゼロになりました。

申告については、僕は 初年度から税理士と顧問契約 しています。設立直後は仕訳ルールの整備、役員報酬の決定、社会保険の手続きなど判断が必要な場面が多く、ここを自己流で固めるとあとで修正コストが高くつくと判断したためです。

会計ソフトと税理士の両輪で、設立初年度から安定して回せています。

ナマケン

ナマケンのひとこと

マイクロ法人は帳簿で事業実態を残せて初めて成り立つ。設立から申告まで同じプラットフォームで通せるのがマネーフォワードの最大の強みです。

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法人口座(ネット銀行)

法人を作ったら、個人口座とは別に法人名義の銀行口座が必要です。

僕は 住信SBIネット銀行とGMOあおぞらネット銀行の両方に同時申込し、先に通った方を採用する 戦略を取りました。両行とも振込手数料が他行の法人口座より大幅に安く、社会保険料・国税・地方税・税理士報酬の口座振替にも対応しています。

設立直後は審査結果が読めません。両方に出して通った方を使うのが堅実で、結果として審査が早く通った方を本採用しています。詳しくは医師のマイクロ法人 法人口座徹底比較で書きました。

小規模企業共済(月最大7万円)

小規模企業共済は、国が運営する経営者向けの退職金積立制度です(個人事業主・小規模法人役員のための国の制度)。月額1,000円〜7万円まで掛金を選べて、掛金の全額が所得控除になります。

年84万円(月7万円×12)を満額で積み立てれば、所得税・住民税を合わせて概算で 年30万円ぶんの税金が消える 効果になります。

僕はNISA・高配当株投資と併用しているため少額で積み立てていますが、iDeCoとも併用可能なので、フリーランス医師の老後資金プールとして優先度の高い制度です。

iDeCoとの使い分けは別記事にまとめています。

先に落とし穴を確認しよう──向かない人・やってはいけないこと

事業実態がない法人・社保削減だけが目的の運用は否認や規制リスクがあります。加えて、将来の厚生年金が減る、年20〜50万円の法人維持コスト、損益分岐ライン(扶養あり500万・独身1,000万)以下では赤字になる、の3点も併せて確認してください。

ここまで効果の話を中心にしてきましたが、マイクロ法人は万能ではありません。むしろ、向かない人がやると逆効果になる仕組みです。順に整理します。

僕自身がマイクロ法人を運用しているのは、ブログ・執筆・コンサル収入を法人で受ける 事業実態があるから です。社保削減はその副次効果という位置づけです。

法人維持コスト(年20〜30万円)

事業実態があっても、法人を持つ最低限のコストがかかります。

  • 法人住民税均等割: 年7万円(赤字でも毎年払う固定の税金)
  • 税理士顧問料: 年10〜20万円(決算のみスポットなら5〜10万円)
  • 会計ソフト: 年3〜5万円

合計で 年20〜30万円は固定で出ていきます(月にすると2万円ちょっと)。社保削減効果がこれを上回らないと運営する意味がないので、損益分岐点の計算は必須です。

損益分岐は扶養条件で大きく変わる

社会保険料の削減効果が維持コストを上回る年収ラインは、扶養家族の有無で大きく動きます

条件損益分岐の目安
扶養あり(配偶者第3号化可・子1人想定)約500万円
独身・扶養なし約1,000万円

これは市町村国保前提・税効果(社保料控除)込み・税理士費用 年40万円を含めた試算です。詳しい年収帯別シミュレーションは別記事で公開予定。

将来の年金受給額が下がるトレードオフ

役員報酬を最低ランクまで落とすということは、将来もらえる老齢厚生年金も最低水準になるということです。

目安として、給料のランク88,000円で30年間厚生年金に加入した場合、上乗せ分は月額5,000円前後。30年積み立てて、月のサブスク1〜2本ぶんしか乗りません。国民年金と合わせても月7万円台にしかなりません。

このギャップは小規模企業共済・iDeCo・NISAなど、別の老後資金プールで埋める前提で設計する必要があります。

フリーランス医師のマイクロ法人についてよくある質問

役員報酬の最適解・設立の依頼先・会計ソフトの使い分け・年金受給への影響・社会保険料の削減効果が出る所得ラインの5つを実務目線でまとめます。

役員報酬はいくらに設定するのが社会保険料の観点で有利?

一般的なマイクロ法人解説では、保険料の「給料のランク」を最低まで落とすために 月4.5万円〜6.3万円未満 が推奨されます。

フリーランス医師の場合は、本業の給与所得で給与所得控除を使い切る前提で、さらに低い水準まで絞る設計の余地もありますが、具体的な水準は事業実態と顧問税理士との設計次第 です。生活費は本業(フリーランス医師)側の所得から取る前提になります。実運用の水準と判断ログは記事末尾のnote案内で公開しています。

法人設立は税理士に頼まなければいけない?

必須ではありません。マネーフォワード会社設立やfreee会社設立といった無料ツールを使えば、定款の作成から登記書類の作成まで自動でできます。

実費として、定款認証(電子)0円、登録免許税6万円(合同会社の場合)が必要ですが、設立そのものを税理士に頼むよりは15〜20万円安く済みます。なお僕は 初年度から税理士と顧問契約 しています。設立直後は判断ポイントが多く、ここを自己流で固めると後の修正コストが高くつくためです。

マネーフォワードだけで法人の確定申告まで完結できる?

マネーフォワードクラウド会計は仕訳と決算書作成までをカバーします。ただし法人税申告書の作成は別途「マネーフォワード クラウド申告」か税理士が必要です。

僕は初年度から税理士と顧問契約しているので、申告は税理士側で完結しています。この記事のコストシミュレーションは「会計ソフト+税理士顧問」の前提です。

マイクロ法人を作ると将来の年金は減る?

減ります。役員報酬を最低ランクにすると厚生年金の加入実績が下がり、将来の老齢厚生年金は月数千円レベルに収まります。

その分、小規模企業共済(月最大7万円)とiDeCo(マイクロ法人を持つと第2号被保険者になり月23,000円が上限)、NISAを最大限活用して、老後資金を別途積み立てる設計が定石です。

所得いくらから社会保険料の削減効果が出る?

扶養ありなら年収500万円超、独身(扶養なし)なら年収1,000万円超 が損益分岐の目安です。市町村国保・税効果込み・税理士費用 年40万円含みでの試算になります。

フリーランス転身前年の所得を基準に、自分の条件でシミュレーションしてから決めるのが安全です。なお、削減効果が出る所得帯であっても、事業実態がない法人運用はやらないことが前提です(記事中盤参照)。

まとめ

事業実態を持って法人を運用する前提で、社会保険料の計算基礎が標準報酬月額の最低等級まで落ち、配偶者の国民年金3号化も加わって数分の一規模まで圧縮できる構造です。社保削減だけを目的とした器だけの法人は否認・規制リスクがあるため避けてください。

今日の要点を4行でまとめます。

  • 事業実態を持って法人を運用すれば、社会保険料の計算基礎が最低等級まで落ち、年単位で大幅に圧縮できる
  • 配偶者を第3号被保険者にできる効果で、さらに年21万円ぶんが浮く
  • 維持コスト(年20〜50万円)を踏まえた損益分岐は、扶養ありなら年収500万円超・独身なら年収1,000万円超が目安
  • 社保削減だけが目的の「中身のない法人」は否認・規制リスクが大きいので作らない

マイクロ法人による社会保険料の最適化は、派手な裏技ではなく「事業を回しながら制度に沿って給料のランクを最適化する」という地味な積み重ねです。順序を間違えなければ、10年、20年と効き続けます。

僕自身は、フリーランス化と並行して載せたい事業(ブログ・執筆・コンサル)があったから法人を作りました。同じ条件が揃った人にとっては有力な選択肢ですが、「節税のためだけに法人を作る」発想だけはおすすめしません。

ナマケン

ナマケンのひとこと

法人口座は設立直後が審査通過率も最高で、開設のハードルが一番低いタイミング。住信SBIとGMOあおぞらに同時申込し、先に通った方を使う戦略がおすすめです。

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参考